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サッカーブログです。

〜ほんの少しのキッカケで〜 2015 J2リーグ 第29節 京都サンガ VS 大分トリニータ 


○6ポイントゲーム
京都と大分。
共に昇格を目指すも下位に沈み、ここで負けるといよいよ降格という文字を意識しなければいけない重要な試合です。
京都は出場停止の石櫃に変わって内田がスタメンになった他は前節と同じメンバー。
石丸監督になってからほぼ固定されたスタメンは、試合を重ねる毎に内容は良くなり勝ち点も付いて来るようになりました。

選手や戦術を変える必要も無くこの試合でも良い流れを続けて行きたい・・・と言いたい所ですが、
これが裏目に出てしまい、厳しい展開の試合となってしまいました。


○大分の罠にハマる京都
次のキャプチャ画像は大分の守備陣形を映したものです。

DFラインはとても高い位置取りをして、DFからFWまでの距離が短く全体がコンパクトになっていることが分かると思います。
DFラインを高くすることによって出来るだけ相手ゴールの近くで守備をする。
そしてDFとMFの間(バイタルエリア)のスペースを出来るだけ縮めてボールを奪い、そこからカウンターを仕掛けるのが大分の狙いでした。


一方、京都の攻撃の狙いは。

図で示した白い丸。この場所にFWが降りる、またはサイドの選手が中に入る。
ボールを受けて前を向くドリブルやSBの上がりを使ってシュートを狙う。
この時出される縦パスが攻撃を開始する仕掛けになっています。

両チームの戦術は完全に噛み合っていました。
京都が攻撃を仕掛けたい場所は、大分のボールの奪い所でもあったのです。


京都対策であったのか偶然そうなったのかはわかりませんが、
前半45分は大分の仕掛けた罠に京都が自ら飛び込んでいるようでした。
縦パスをことごとく潰され京都の攻撃は機能しないままカウンターで失点してしまう。
完全に大分の注文どおりの試合をしていました。

大分は直近の11試合で失点を1以下に抑えている守備の良いチームです。
リードされて前半が終わったことは京都にとって危険な試合展開でした。


○運か実力か
後半になり京都も裏を狙うボールを使い始めますが、大分のFWが献身的にプレスに来るために精度の高いパスにならず。
これといったチャンスを作ることができずに時間だけがどんどん過ぎていく・・・
この試合の大きな機転になったのは60分。
大分のFWが原川のドリブルをカットしたボールが中途半端な位置に転がり、さらに大分の選手が足を伸ばして触ったボールが宮吉の足下へ。
全くの偶然ではありますが、京都がずっと使いたかったバイタルエリアで前を向くことに成功しました。

宮吉のパスはフリーの伊藤に渡り、外から巻いてサイドネットに決まる見事なシュート。
伊藤はプレーが安定しないのが玉にキズの選手なのですが、いい時はホントにいい仕事をするんですよね(笑)
試合を通してシュートチャンスは無かった思うのですが、初めて来たチャンスで難しいシュートを良く決めてくれましたね。


この得点を機に大分の動きは大きく落ち込み、ペースを掴んだ京都は一気に逆転まで持って行くことが出来たのですが、
キッカケはほんの少しの幸運みたいなもので・・・振り返ってみるとギリギリの試合だったんだなと思います。
月並みな話になりますが、J2の各クラブにあまり大きな力の差はなのですね。
些細な所で勝ち点は決まっているのでしょう。



○京都の攻撃はもっと良くなる
京都にとってはこの試合はとても良い教材になったのでは無いでしょうか。
攻撃の課題になったのは、バイタルエリアで受けるボールをとことん狙われてしまうと攻撃がほとんど機能しなくなる事です。
ただ闇雲に間で受ける動きを続けるのではなくて、相手がラインを高く設定してコンパクトな陣形をとっている時には、単純に裏を狙う事も必要だったのでは無いかと思います。
FW、2列目の選手が裏に抜ける動きをすることによって相手のDFラインを下げることができれば、スペースができて、バイタルエリアで受けやすくなるでしょう。

もう一つの課題はCBの2人がプレスをなかなか外せなかった事。
これはボールを持った時にフリーの選手を作り出すために、ボランチの選手のポジション取りがポイントになります。
CBながら縦にパスを出せるバキと菅沼は京都のストロングポイントです。
強みをさらに生かさない手はありませんよね。


次の相手は金沢。大分と似たような守備を仕掛けてくるチームです。
大分戦で見つかった課題に対して、石丸監督はどのような解決法を取ってくるのか。
そこら辺を楽しみにしたいと思います。