Take it easy

サッカーブログです。

〜戦略としては見えるのだけれど〜 2017 J2リーグ 第1節 京都サンガ VS モンテディオ山形


毎年オフシーズンは一喜一憂するものですが、期待と不安が入り混じった複雑な気持ちをサポに与えた2チームでは無いでしょうか。
2017年シーズン、京都サンガの初戦の相手はモンテディオ山形
どちらのチームも昨シーズンの結果を受け、さらなる順位アップを狙ったチーム改革を行いました。
モンテディオ山形は新たなサイクルを始めるべく愛媛をプレーオフまで押し上げた木山監督を起用。
愛媛から勝手知ったる選手達を加入させることによって、チーム作りを加速させたい思惑が見えます。
一方、京都は劇薬とも言える闘莉王の獲得、大黒のレンタル復帰、さらには京都橘の選手が多数加入。
トップチームでの指揮は初挑戦となる布部監督。アクの強いメンバーをどれだけコントロール出来るかがポイントでしょうか。

システムはどちらも3−4−3。スリーバックで1トップ2シャドー。
完全に同型のミラーゲームとなりました。


◆ペースをつかめない京都
序盤はお互いにボールにプレスを掛け合う展開。
じょじょにゲームが落ち着くにつれ、京都はボールを保持する時間を多くして攻撃する形を見せ始めます。

特徴的なのはウイングバックのポジション。左右の石櫃と湯澤を位置取りを高くして5トップ気味に。
高い位置に選手を多く置くことによって、相手を押し込みたい、サイドから相手を崩したいという意思を見せる布陣でした。

けれどもこの布陣は効果的に働くことはありませんでした。

山形の前線3人は積極的にプレスを仕掛けてきました。
3対3の数的同数であり、まともにプレッシャーを受けた京都のDFラインはボランチにパスを通すことができず、
またサイドの選手が高い位置取りをしているためにボールの逃し場所も失ってしまっていました。
結局アバウドなボールを前方に送るだけになり、山形の守備にあっさりカットされるという展開になります。

これがこの試合の流れを決める大きなポイントになりました。
山形の前線3人にプレスを仕掛けられた時にどのようにしてボールを運ぶのか?
解決策が見られなかったのは残念でしたね。


◆2失点の原因
京都の守備面で目についたのは、ボールを奪われた瞬間の動きです。
ボールの近くにいた選手がすぐに奪い返しに行きます。
そうして奪い返した勢いそのままにゴールに迫る場面が何度かありました。
一方で奪いきれずにかわされてると大きなピンチを招いてしまうリスクのある守備でもありました。


クロスからのヘディング、PKという形でしたが
どちらの失点も原因は同じです。

1失点目は吉野、石櫃、闘莉王もでしょうか
2失点目はソンミン、吉野、そして染谷。
自分のポジションを捨ててプレスに行った所をかわされて、
空いたスペースにボールを運ばれてピンチを迎えています。

この失点をカウンターを受けたという表現が正しいのかは微妙な所ですが、
京都はボールを奪い返そうとしたばかりに守備陣形を自分達から崩してしまったため、
相手のカウンター攻撃を誘発してしまったと言えなくもありません。

90分でシュートが4本に終わっているとおり、山形の攻撃が決して上手く行っていた訳では無いです。
その相手に対して京都はチャンスを与えるような守備をしていまいました。
ボールを奪いに行くのかスペースを守るのかを判断する基準を明確にする、
全体をコンパクトにしてプレスをより一層強める、
といった修正を京都はする必要があるのではないでしょうか。


◆選手交代からの反転攻勢
2点のビハインドからもう点を取りに行くしか無くなった京都。
岩崎と仙頭、二人の新人選手を投入。この交代がゲームを動かすことになります。


ボランチに入った仙頭はDFラインに落ちる動きをして3バックから4バックに変化。
4バックに変化することにより、山形の前線3人のプレスに対して数的優位を作りフリーで前を向くことに成功します。
ボール保持したときに3バックから4バックに変化する戦術がチームのオーダーなのか個人の判断なのかはわかりませんが
仙頭が起点となりここからようやく京都の攻勢が始まります。

仙頭は東洋大学インサイドハーフという中盤のポジションを任されていたそうです。
インサイドハーフは周りの状況をよく観察してポジションを細かく調整し、チームの攻撃をコントロールする難しいポジションです。
その経験があったからこそ、相手のプレスをかわす方法もすでに持っていたのでしょう。
停滞していた攻撃を自分の働きで打開できた事は大きな成功体験になったのでは無いでしょうか。

時間が進むに連れ、闘莉王がパワープレイ気味に前に残りゴールに迫る場面も増えてきます。
このあたりから山形は前からのプレスをやめて、徹底してゴール前を固める守備に切り替えてきました。
京都が押し込む、山形が跳ね返す、という展開が続き、
さらに圧力を強めるべく長身のオリスを投入しそれが点に結びついたのは、
上手く行かないことばかりのこの試合で、なんとか光明が見えた場面でしたね。
クロスを上げた岩崎、前線の起点となりゴールを上げたオリス。
二人ともいい仕事をしてくれました。


◆ひとりごと
山形は前からのプレッシング、ゴール前に引いての人数を掛けた守りと
2種類の守備をチーム全体でやりきったのが結果につながった。
木山監督は新チームで出来ることが少ない中、
負けないための手段をきっちり用意してきた様に思う。2得点はご褒美。

一方の京都。
ボールを持つと3−2−5に配置してのビルドアップ。守備に切り替わった時にプレッシング。
これらの特徴から連想したチームは浦和レッズ
本家の浦和は今の形に至るまでに相当な苦労をしていた記憶があるけれど
布部監督は京都でも同じ過程で成立させようとしているのか。
チーム内外の状況からいってあっさり諦める可能性も高いように思う。
スタメンに出した選手はいかにも安定を取って置きに行ってる感じがしたし、
交代で入った選手が揃って活躍した事もあって、これからどんどん変わっていくのだと思う。
いや変えられるのかどうか、かな。